施工事例

埼玉県鶴ヶ島市 台風により折損した屋敷林内の風倒ケヤキの伐出

平成29年12月8、9日実施

川越市の造園業者様より、鶴ヶ島市内の個人様屋敷林内にある目通り260cmケヤキの伐採の依頼がありました。

このケヤキは10月29日に通過した台風22号の強風の影響により、地上10m付近の二又から片方が裂けて県道側へ倒れ、下層木と電線に乗った状態で止まっていました。

屋敷林に隣接する県道は比較的交通量の多い一般県道で、電線には先端の細枝が乗っている程度で、幸いにも交通・電力ともに大惨事にならずに済んでいました。

下から見ると又分かれの少し上に大きなサルノコシカケが生えており、二又付近が菌類に侵されて腐朽し、非常に脆くなっていたことがわかりました。

これでは非常に危険な状態なので早急にも撤去したいとのことでしたが、道路使用許可の申請・電線防護管の設置・当社と造園屋さんの都合から依頼より1ヶ月近くお待ちいただいていました。

風倒木の撤去は非常に危険が伴っており、今回のケースでは地上10mから上の太枝が根こそぎ折れて、しかも電線と下層木に掛り木して止まっているという非常に危険度と伐採難度が高い現場でした。

電線より奥に風倒枝があるため道路から高所作業車では作業することができず、屋敷林内へも車両を簡単に搬入することができませんでした。

車両が使えないことから掛り木風倒枝に直接登って枝落としすることは危険極まりなく、高所作業車を接近して作業しても掛り木が外れた瞬間に枝が車両を直撃することは免れない状況でもありました。

通常の方法では伐採できないことから、ラフタークレーンと吊り下げ式のゴンドラで人員2名を吊り下げた状態で枝落としをすることにしました。

クレーンを県道に設置する都合から25tクレーンよりも小さい機種を選定する必要があり、電線を大きく跨ぐことからジブ2段拡張及び油圧チルト機構の付いた小旋回クレーンに限られていました。

電線防護管の最速設置が7日であることから8日着工で予定し、1日目は20tクレーンで風倒ケヤキの全枝落とし、伐採材の搬出路確保及び付随する障害木の除去をしました。

道路使用許可の制約上9時よりクレーンを道路に設置し、ゴンドラに2名が乗り込んで電線より県道側へ迫り出ている枝を可搬サイズで適宜切断しました。

電線に干渉した枝を全て取り払ったあとは下層木に掛り木した枝の除去に取り掛かり、風倒枝に掛かっている複雑な力を見極めながら端から徐々に伐り落しました。

最後の2本の太枝を残す状態まで風倒枝は下に落ちることなく、この状態から二又の裂け目にチェーンソーを入れて風倒枝自体を伐り落としました。

木の繊維が破断して幹に安全な足場を確保できないことから、反対側の無傷の枝も同様に人員を吊り下げた状態で枝を伐り落しました。

電線の裏側にあるヒノキやスギの枝は高所作業車で枝打ちできないので、防護管があるうちにゴンドラで回り込んで枝下ろしして欲しいとのことでした。

このほか余った時間で屋敷林の入口付近にあった太めのヒノキ2本を別途で売ってもらい、クレーンで3番玉より上を胴切して翌日伐倒するようにしました。

2日目はケヤキと別途で売ってもらったヒノキ2本の伐倒、伐採材の搬出をしました。

まずは、ヒノキ2本を伐倒しました。1本は少なくとも穴が出ることが分かっていましたが、2本とも元木の約1mが穴開きでした。

次にケヤキの伐倒に取り掛かり、風倒の影響で幹には大きな胴割れが発生しており、そのまま伐倒すると着地の衝撃で全幹胴割れを起こしかねない状態でした。

更なる胴割れを防ぐために地上7m付近にチェンブロックを取り付けて幹を締め上げ、伐倒方向には伐採したヒノキの枝葉を敷き詰めてクッションにして衝撃緩和に努めました。

伐倒着地は成功して胴割れの広がりは無く、元木は5m、2番玉は4mで造材しましたが、ヒノキと同様に元木には土壌由来の腐れが少し出ていました。

また、造材したところ胴木に落雷の痕跡が見つかり、受雷で二又が弱っていたところにサルノコシカケが寄生し、腐朽していったことで今回の風倒が起きたことがわかりました。

ケヤキ伐採材はユンボで道路まで約20mを地曳きで集材してユニックで積込み、パルプ材やヒノキ伐採材とともにトラック3台で搬出して作業を終了しました。

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伐採木

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又裂け状況

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電線掛り枝切除

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太枝切除

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無傷側太枝伐り落とし

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別売ヒノキ伐倒

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ケヤキ伐倒

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2番玉地曳き集材

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元木地曳き集材

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積込