令和4年10月6~10日実施
社長出身校の東京農業大学の担当教授より、奥多摩演習林研修センターの資料館周辺にある目通り280㎝のモミ1本や目通り180㎝前後のモミ3本、スギ1本の伐採の依頼がありました。
目通り280㎝のモミは資料館の目の前の斜面に立っており枯れ枝の落下が目立っていることや、資料館脇の急傾斜地に立っている目通り180㎝前後のモミ3本は太いフジツルに樹冠部全てを激しく巻かれ、一部枯れ始まっていました。
特にその3本のモミの落下枝が激しく、斜面下のシャワー室周辺に多数の枯れ枝が落ちていることが目立っていたため、双方屋根の破損と学生への危害防止のため早急に対処したいとのことでした。
当初は3月に伐採の計画が持ち上がり、夏の実習前に伐採したいとのことでしたが、伐採本数の変更等で最終的な実施判断が7月末に下されて夏の実習期間と暑さを避けた結果、10月上旬頃の施工予定となりました。
当社ではクレーンの使用が可能と判断し、伐採材が再利用な可能なサイズで伐出可能であることで、大学側としても幹を材として搬出が可能な工法を唯一提案した当社へ発注していただけることになりました。
枝葉は当初より林地に残置してもよいことになっていましたが、特に幹は断幹材で残置すると斜面下へ滑落する危険性が高いことや、腐るまで時間を要することから基本的には搬出することを提示していました。
また、演習林及び森林総合科学科からの依頼であるため、林業的に利用可能な状態で伐出することがある意味で求められていました。
伐採するために必要なクレーンを搬入するには宿舎周辺の要所に鉄板を敷設する必要があり、演習林へ続く林道は急坂が多く狭いので満足な中型車も進入できない状況でした。
クレーンも本来であれば25t級を搬入したいところ、途中の橋桁高、林道幅員、宿舎通路幅から不可能で、20tクレーンがかろうじて搬入可能な最大のクレーンでした。
予め4日にユニック車1台とダンプ2台で鉄板を当社より運搬して敷設し、6日からすぐにクレーン作業に取り掛かれるように準備しました。
6日朝にクレーンを搬入して作業位置に設置しましたが宿舎周辺は大雨となり、樹上作業は危険なため伐採作業を行わずに初日の作業を10時で打ち切りました。
7日も宿舎周辺は朝から雨で、前日よりも多少降り方が弱かったため作業を強行し、伐採予定のスギ1本とクレーン作業の支障となるスギ高木1本を伐採して2日目の作業も10時で打ち切りました。
7日より教授2名や学生数名も泊まり等で伐採作業を見学に来られていたので、通常は雨天時の樹上作業は行わないものの実演するためにスギの伐採のみ行いました。
5日間工期のうち雨天を想定して1日分は予備日を想定していたものの、すでに2日目で予備分を使い果たしてしまったので、8日は朝早くから作業を行うことになりました。
目通り280㎝モミは通常1日作業では伐出が難しく、1日と少々の工程を予定していたので早出作業が功を奏して当日中に伐採と伐採材2台分も搬出を完了し、ツル巻きモミのツル処理にも一部取り掛かることができました。
ツル巻きモミはクレーンがほとんど届かない位置に立っていたのでほとんどの作業が人力作業となり、クレーンはウインチ作業の代役と伐採材の集材に使用する程度となりました。
周辺の残存木への損傷を防ぐためツルを可能な限り処理した後で樹幹部を伐り落とし、幹のみを安全な方向へ伐倒して、途中で雨に遭いながらも残りの2日間で3本を伐採して搬出しました。
最終的に当社ではクレーン作業でも人力作業でも断幹材は一切発生せず、目通り280㎝モミの元木と2番玉の大径2m(8尺)材を除き、製材用材・土木用材・チップ材向けは全て3mもしくは4m材で伐出しました。
伐採材全てにおいて再利用な可能な大きさで伐出ができたので搬出運搬費を相殺し、予定通り当社の規定により無償で引き取りました。