令和3年3月31日実施
福生市にお住まいのお客様より、自宅敷地裏の斜面に立っている目通り310㎝のケヤキの伐採の依頼がありました。
以前は敷地内に複数のケヤキがあり、この木だけはお稲荷さんのご神木として残していたものの落ち葉の管理等が大変になっていることから早いうちに伐採したいとのことでした。
また、斜面下側へ蔓延った根が土砂の流失でむき出しになって腐食しており、裏の隣家の方向へ万が一の倒木も危惧していたようでした。
見積のご依頼をいただいたのはすでに3月下旬に差し掛かっており材木としての伐採時期では遅い状況でしたが、優良なケヤキでしたのですぐに伐採することにしました。
ケヤキは敷地内の母屋裏の斜面に立っているためクレーンを満足に接近させることが難しく、依頼人様の敷地内からアプローチする場合には庭または街道側の貸し駐車場にクレーンを設置する必要がありました。
依頼人様敷地内の両者からではケヤキまで距離があるため枝しか吊り伐りすることができず、25tクレーンでも幹は満足に吊り伐ることができない状況でした。
実際には道路事情から庭へは25tクレーンを搬入することができず、街道側の貸し駐車場へ25tクレーンを搬入する場合には鉄板等で養生する必要がある上に幹を長材で搬出することもできない状況でした。
依頼人様の敷地外からケヤキへ最も接近できる方法として、隣接するご近所様の自家用車用駐車場に16tクレーンを搬入することで、依頼人様の敷地内から作業する場合よりも短い距離でケヤキに接近することが可能でした。
この駐車場は傾斜のある三角地で自家用車用のため決して広くはなく、スペースの都合上25tクレーンを搬入することができず、16tクレーンが十分に展開する分のスペースとあと少しの広さしかありませんでした。
このため枝処理作業には広いスペースが必要なので、枝下ろし作業時はクレーン共々庭から作業して幹伐採の時だけ三角地駐車場を一時お借りして作業することにしました。
これら様々な条件の下、作業には非力なものの16tクレーンを搬入してまずは庭から枝下ろし作業を開始しました。
以前に枝下ろししている木なので細い萌芽枝と元々の太枝があるだけで、クレーンとの距離が離れているものの大きい状態で吊り下ろし、10時前までに枝下ろしは終了しました。
廃棄する枝はダンプに積み込み、太枝伐採材は原木運搬車に積み込んで庭からの作業を終了し、昼前にクレーンを三角地駐車場へ移動して設置しました。
午後一番で2人が太枝伐採材を積んだ原木運搬車で一旦帰社し、後程伐採の2番玉を積み込むために貯木場へ荷下ろしに向かい、同時に胴木を運搬する原木専用運搬車も取りに帰りました。
原木専用運搬車も周辺の道路事情から依頼人様の庭まで搬入できないことで、作業中停め置くことができないので積込の時に合わせて来るようにしました。
その間に3人で2番玉と元木の伐採に取り掛かり、会社と現場は30分以内の距離なので伐採が完了した時点で会社で待機していたトラック2台を呼び寄せ、迅速に積込して全作業を終了しました。
伐採木の新芽は周囲の他のケヤキより芽吹きが遅い状況でしたが、胴木の重量は水分を多く含んでいる証拠として冬季時の想定重量よりも5%以上重くなっていました。
材は樹齢150年クラスの良いものでしたが幹の有効長が5m台と少し短く、長材を採ることができないのでケヤキを買取して伐採費を値引いたにも相殺までは至らず、一部の伐採費はご負担いただく形となりました。
今回のように材質が良くて太くても幹の短い材や条件によって大きく搬出できない材、売れ筋や注文材のサイズに合致しない材は高値で買い取りできないので、伐採費を相殺以上とすることが全体的に難しくなっています。